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第7官界彷徨

第7官界彷徨

追原OPPARAつうしん

 創刊号・1998年3月   発行・追原を歩く会

=追原は雪景色で迎えてくれました=
 2月15日の「追原を歩く会(仮称)」は、参加者17人。思いがけない雪の舞う中を、つり橋から追原まで歩いてきました。追原は淡い雪景色で迎えてくれ、しみじみと感激しました。
 鵜沢さんが用意してくれた、ダムの図面や流域図を見ながら、満水時にはどれだけ水に浸かってしまうか、などについて説明してもらいました。道路をはさんでつり橋の反対側の山腹にある観音堂も水没すると聞き、改めてショックを受けました。
 七里川温泉で昼食をとり、再び資料を見ながら説明を受けました。そして、みなさんの自然に対する思い、今後の会のありようなどについて話し合い、とりあえず何度も「歩く会」をもうけ、ひとりでも多くの人に追原を知ってもらうこと、また、他の団体などとも連絡をとりあって、輪を広げて行こうということになりました。
 2月21日「小櫃川の水を守る会」の方とお会いして、話をうかがいました。「小櫃川の・・・」では、追原ダムに反対する方向で運動を進めているそうです。
 そして4月19日に千葉県自然保護連合と合同で、現地を歩く会を予定しているそうで、なるべく多くの人に参加してほしいとのことです。
 詳細は後日に。

 ◇お知らせ◇
2回目の「歩く会」を予定しています。七里川沿いのふさざくらが迎えてくれる頃です。
 時・3月29日(日)午前10時
 所・黄和田畑の地元物産店前集合


「追原で考える」ー追原ダム建設計画について
                        う澤喜久雄

 秋の終わりごろ・・・11月下旬から12月にかけて・・・両岸のカエデが、覆いかぶさるようにして、渓全体が紅や黄色に彩られる七里川の渓谷。この谷にダムが計画され、白い岩の崖と洗濯板模様の川床が、水底に沈むという計画のあることを知ったのは、去年の12月初めだった。

 全国有数のゴルフ場造成で、房総のやわらかい自然が、ズタズタに切り裂かれた現場を見てきた私にとって、”この上またダム建設で「房総」をなくす気か”と、憤らずにはいられなかった。
 しかし、初期のゴルフ場造成の頃とちがって、すぐ応える動きが出てきた。そして第1回目の追原ダム建設予定地現地調査会が、20名ほどの有志の参加で、2月15日に決行された。
 
 小櫃川の洪水対策と上水道水源を主な目的として、事業費260億円の予定で、堤頂139メートルのコンクリートで、あの谷を堰き止めるという。追原へ通じるつり橋や四方木手前の白岩橋を水没させ、清澄温泉もキンダン沢の大洞も水の中に沈むという。
 黄和田隧道を抜け出た所から、小櫃川に橋をかけ、左側にトンネルを掘り、隠れ里追原のあの屋敷跡に抜け、湯ゲ滝の高原を真2つに切り開く2車線の道路を新設するという関連工事つきの計画と聞く。

 川を川でなくすること、森を森でなくすることを、人間はいともたやすくやっていいものなのか。
「すでにこの計画は承認されていたものだから」とか、「地元の要求だから」とか、「東大の先生方が承知してくれているから」とか、「アセスをきちんとやって、一部を移転植するから」とか言って、自然環境を、こうやって造り変えていいものなのか。人間はそんな権限を持っているのか。
 七里川のつり橋の下におりて考える。追原の、あの巨岩の塊と見違えるほどのカエデの巨古木の傍らで考える。
 現地に行こう。見て考えよう。みんなで考えや意見を出し合おう。
                 (「歩いてみよう房総の自然」著者・ふわくハイキングサークル事務局長)


追原つうしん第2号       1998年4月

=追原宣言を採択しました・第2回追原を歩く会にて=

 3月29日、2回目の追原を歩く会は、七里川温泉から追原まで、ふさ桜のみずみずしい花が咲く川沿いの道を往復しました。コースの大半が、ダムができた場合の水没予定地です。
 参加者は、受け付けをした人で82人。船橋や松戸など遠くから来てくださった、千葉県勤労者山岳連盟所属の各サークルの会員さんや、地元の自然を楽しむ人たちのグループ、「追原つうしん」創刊号を見て趣旨に共感したという人、当日の読売新聞で会の催しを知り、急きょ参加した人など、多方面にわたりました。
 その他、新聞社やテレビ局も取材に来ました。

 また、この会を知って、地元の人々も何人か集まって見え、新聞やテレビの取材を受けていました。そのうちの一人の方から話を伺ったところ、『よそからたまにやってきて、勝手なことを言わないでほしい。地元の活性化のためにも、2車線の道路はぜひ欲しい』とのことでした。
 しかし、「ダムと道路を別に考えてみませんか」と話すうちに、『七里川渓谷の紅葉はどこよりも美しい』ということで意見が一致し、七里川の自然に対してこの人たちが抱いている愛着と誇りのようなものを感じさせられました。
 つり橋の上で、植物の調査をしているという君津市の人たちのグループとも出会いました。ふさ桜の季節なので見に来たとのことです。

 七里川温泉で昼食をとり、経過報告のあと、私たちの「思い」を盛り込んだ『追原宣言』を全員一致で採択しました。
 自然や生き物や歴史の残る隠れ里などを水没させ、莫大な税金を投じて作るというダムへの疑問、また、百年前まら村人たちが苗を植え種を蒔いて守り育ててきた東大演習林の一部までダムに沈めてしまうことへの、ひそかな怒りもこめてあります。

 この宣言を拠り所に、息の長い運動を続けていくことになりました。拍手と、「また追原を歩きましょう」を合い言葉に、楽しく、充実した一日が終わりました。

◇これまでのこと◇
3月1日・千葉県勤労者山岳連盟の総会に出席。貴重な総会の時間をいただき、追原の訴えをさせていただいた。その結果、県連が「歩く会」を大幅に支援してくださることになり、勤労者山岳連盟の自然保護委員会として動くことになった。大変心強く、これからの運動に弾みがつきました。
3月11日・アムネスティ千葉、タフの会の例会で訴え。
3月21日・千葉市母親連絡会で訴え。
3月29日・第2回歩く会。追原宣言採択。
4月5日・ふわくハイキングサークルの総会で訴え。追原宣言の署名の取り組みをお願いする。
4月16日・千葉県庁に行き、自然保護課、ダム建設課、道路改良課、との交渉。(詳しいことは次号でお知らせします)
 同日  ・千葉県勤労者山岳連盟の理事会・自然保護委員会に出席。
4月19日・千葉県自然保護連合の集まりに出席。追原宣言の署名依頼。


◇参加してみませんか◇
ふわくハイキングサークルでは、6月7日、七里川の清掃ハイキングを行います。勤労者山岳連盟の県下一斉清掃ハイクの一環です。
七里川を守る大事な行事です。会員以外の方でもO.Kです。

◇これからのこと◇
みなさんにお願いです。追原のことをたくさんの人に知らせてください。追原宣言の賛同署名を、まわりの人に呼びかけて書いてもらってください。
追原や自然に対する思いを、写真や絵や文学作品にしてください。
これから長い運動になると思われます。いろいろな企画をして明日につなげていきたいと思っています。どうぞよろしく。


追原つうしん第3号    1998年6月

=調査費1億5000万円=
 4月16日、小柴玲子さんが紹介議員になってくださり、千葉県庁に行きました。う澤さんが追原への思いを、地元の人の意見もまじえて切々と訴え、追原宣言を採択することになった経緯を説明して、170筆の署名に「追原宣言を行政に生かすことを求める要請書」の表紙をつけて出しました。「河川海岸課」「道路建設課」「自然保護課」の担当の方から、追原ダムの現在、そしてこれからを説明してもらいました。
 河川法が変わって、自然保護を重視するようになっていることなど、丁寧に教えてくださいましたが、平成10年度までに1億5000万円も使って、民間に環境調査を委託させているとのこと。
 具体的な追原ダムのことになると、決まっていません、わかりません、未定です。という答が多かったわりには、もう随分沢山お金を使っているようです。

=記者さんたちも親切でした=
 対県交渉のあと、記者クラブへ。初めての体験でしたが連絡をしたところ、取材から帰ってきていた記者さんたちが会見室に集まってくれました。追原つうしんと「宣言」、ダム及び道路付け替え予想図を渡し、追原の写真も見せました。
 歩く会のメンバーについて、ダムができた場合の弊害、できなかった場合のマイナス面、追原や東大演習林の貴重な植物の例などや、千葉県や君津市の姿勢などについて聞かれましたが、どの記者さんも前向きで親切な印象でした。翌日の新聞に載せてもらえました。

=自然保護連合の合同調査会に参加=
 4月19日、七里川温泉前に集まり、野鳥、動植物、水質、地質、水生動物の5つのグループにわかれて七里川渓谷の春を堪能しました。
 野鳥は若葉が茂って見えにくい時期でしたが、ヤマセミ、オオルリ、ヤブサメ、センダイムシクイ、など23種を確認。里山がなくなって来ているせいか、里山の鳥の代表のサシバが、繁殖準備をしていたとのことでした。
 水生動物は、ウズムシ、カワゲラ、トビゲラ、ヘビトンボなどが確認され、これらはきれいな水に棲む虫たちなのだそうです。またギバという小魚は大、中、小と確認され、ここで繁殖活動がなされている証明とのこと。
 生き物がいれば繁殖は当然の話ですが、自然が壊されて当然ではなくなっている時代です。一所懸命生きている小さないのちに胸が熱くなりました。
 自然保護連合からはこの日の報告集が出されるそうです。

=「追原宣言」に署名ぞくぞく=
 「追原宣言」の賛同署名は地道に増え続けています。4月16日に千葉県に提出した170人分の他に400近い署名をお預かりしています。
 郵便受けに少し厚めの封筒が届き、何枚もの署名を手にするたびに、お会いしたことのない方々の思いが熱く伝わって来ます。そして、とても勇気づけられます。
 これからも地道に活動を続けていきたいと思っております。どうか、署名の呼びかけにご協力下さい。ご家族の分も書きたいという声がありましたので、新しく10人の名前が書ける用紙作りました。どうぞよろしくお願いいたします。用紙は事務局、うさぎA,うさぎBのところにあります。(6月1日・署名担当うさぎA)

◇自然保護連合の機関誌にう澤さんの「私見・自然環境保護と住民のくらし」と「追原宣言」を載せていただきました。
 また四街道自然同好会」の機関誌にも、うさぎBの「みつめてください」の詩と「歩く会」のお知らせを載せていただきました。◇

=追原を歩く会の半年=
 「追原を歩く会」が発足して半年。さまざまな団体の方と知りあって、教えを請い、いろいろな経験をしてきました。その中で、たとえば三番瀬の12万署名のように、県民の関心が自然保護に向けて高まりつつあるのを実感しています。また、大型開発の是非についても関心を持ちはじめている人が多くなってきています。私たちの税金の使われ方や、果たしてその結果県民生活にどれほどのメリットがあるのか、「歩く会」に疑問をぶつけてくる人がとても多いのです。
 自然を破壊し、莫大な税金を使って作られる追原ダム。この話をすれなみなさん追原を守りたいといいます。しかhし、まだまだ知られていないのです。千葉県の600万県民の一人でも多くの人に追原を知らせること。これが「歩く会」のこれまでとこれからです。
 半年やってきて、みなさんの思いを受け、この運動の拡がりに見通しがついてきたと感じています。どうぞ「追原」に来てみてください。まわりのみなさんに追原ダムのことを知らせてください。



追原つうしん第4号            1998年7月

=6月7日、七里川清掃ハイク=
 6月7日の七里川はどちらを向いても緑・緑・・・。全身が緑に染まってしまいそうでした。春には小さな花房をつけていたふさ桜も、やわらかい葉を涼しげに広げています。
 時折小雨の降る肌寒い日でしたが、寒さなどものともせず、水の中を歩いてゴミを拾う皆さんの姿に、七里川をきれいなままで守りたいという心意気を感じました。
 私(うさぎA)はふわくハイキングサークルの仲間数人と、吊橋の下の河原で味噌汁作りを担当しました。ふわくの長老、百瀬さん、野村さんが、河原の石でテキパキとかまどを築いて火をおこします。(意外な特技にびっくり)流れの真ん中で、二つの大鍋にザブリと水を汲み上げて火にかけます。ワカメ、玉ねぎをきざみ、湯の煮立つのを待ちます。
 かじかがえるや小鳥の声が耳にここちよく響き、それに混じって川上と川下から清掃班の人たちの声が遠く聞こえ始めました。その声がだんだん大きくなって、いよいよ近づいて来た頃には、味噌のいい香りも漂いはじめました。
 きれいな七里川の水で作った味噌汁は、あたたかく美味で、水の中を歩いてきた皆さんに喜んでいただけました。(うさぎA)

「写真・うさぎc」
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「6月7日は、勤労者山岳連盟の県下一斉清掃ハイクでした。松戸、船橋、千葉、君津、木更津などから、七里川の清掃に集まりました。山に登るひとは自然を愛するひと。いつまでも愛する自然を守っていきたいととの思いで一致した仲間が、ビニール、空き缶、発泡スチロール、石油ストーブ、いろいろ拾って運びました。大変だったけど、充実の一日」

=おいしい、追原・七里川・黄和田=
 七里川温泉に泊まったとき、地元のおかあさんたちとお風呂で交流。彼女たちは、たんぼをやり、畑をやり、パートの勤めにもゆき、地元物産店で手作りのお餅や漬け物を売っている(売るのはおとうさんたち)スーパーかあさんたちです。
 びっくりしたのは添加物や環境問題に詳しいこと。調味液に浸ける市販の梅干しの作り方まで知っていて、梅も紫蘇も農薬を使わないで作った自家製の梅干しの良さを語ってくれました。汚染されていないこの地域の水の素晴らしさも知っていました。農協婦人部で小櫃川の水を守る会の話も聞いているようです。
 自宅のお風呂は鉱泉で、都会に出た親戚の人は、帰ってくるなりすぐお風呂に入りたがるそうです。
 そこで聞いたホタルの話。渓谷沿いのたんぼからホタルが湧きあがるように飛んでくる日があるそうです。宮本輝の「蛍川」を思い出しました。<ホタルを見る夕べ>を企画しようと思ったのですが、時間がなくてできませんでした。来年はぜひ実現したいですね。

「写真・うさぎC」
キャプション
「七里川温泉のハヤとどじょうの唐揚げ。ハヤはここのおじいちゃんが七里川の上流で釣ってきたもの。かりかりと美味」

=夏の追原=
☆七里川渓谷は隠れたファンの多いところ、。夏休みに川遊びに訪れるひとが結構います。みなさんもぜひお出かけ下さい。そして出会った人に追原ダムのことを知らせてください。

=予告・木更津で講演会=
☆自然保護連合、小櫃川の水を守る会、勤労者山岳連盟などが呼びかけ団体となって、11月8日に木更津市で、エコツーリズムの提唱者、横山隆一さんの講演会を開くことが決まりました。
☆七里川の第二回現地調査会が、11月の第4日曜日に開かれる予定。専門家のお話を身近に伺えるチャンスです。お楽しみに。



追原つうしん第5号        1998年10月

=「歩く会」にあたたかい声援ぞくぞく=
 今年の春、ふさざくらの花もつぼみの頃に発足し、よちよち歩きの「歩く会」の行く末を心配して、たくさんのみなさんから励ましをいただいております。有り難く、嬉しく、事務局一同いつもいつも感激しております。
 お手紙を1通紹介させていただきます。

『四方木より我が家の炭を仕入れており、土地の人の素朴な気持ちは理解できますが、「追原つうしん」を拝読し、私なりにバアさんやジイさんに真の目的を説き、聞かせました。
 私たちのふるさとの遊び場であった、和泉、保台をなくし、今また七里川を失う事の大きさ。房総で育った私どもには悲しいことです。
 親父に連れて行ってもらった川遊び、山遊びの場所を息子達は体験し、ようやくその息子がいつか又、俺も子どもを持ったらあの場所で泳ぎを、竹細工を、釣りを、と思っているのにそれがない。そのことは体験したものでなければ分かりません。
 「真の豊かさとは」ということを見失い、見かけ倒しの砂上の楼閣だったことに早く気がつくべきなんですが。
 そのツケを何の責任もない庶民が営々と払わされている、その現実のおかしさに気づかない限り、際限なく我々はツケをまわされるでしょう。
「追原つうしん」大変でしょうが頑張ってください。些少ですが「貧者の一灯」カンパのまねごとです。ご笑納ください。和田町 kさん』

*Kさんは大正時代の建物を持つ和田町の老舗M亭のご主人です。「花嫁街道」の提唱者でもいらっしゃいます。本当にありがとうございました。
*署名やカンパを送ってくださったみなさん、ノートに署名して送ってくれた子ども達、みんなの力が集まって「歩く会」は元気です。
 これからも一緒に歩いてください。

=いよいよ始動・追原を守る運動=
 いつまでも暑かった今年の夏も、もくせいの香りとともにすっかり秋らしくなってきました。山ヒルに占領されていた追原もそろそろ私たちを受け入れてくれる頃です。歩く会は夏の間、人間の領域で少しづつ運動の輪を広げてきました。いよいよ本格的に守る運動が始まります。





追原つうしん第6号

=「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」がいよいよスタートしました=
 11月8日(日)木更津市民総合福祉会館で設立総会。
 記念講演は日本自然保護協会総務部長の横山隆一さん。


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